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ホーライサンワイナリー「ほしあつめ2022」テイスティングレポート

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ワインブロガー・ヒマワインがホーライサンワイナリーの「ほしあつめ2022」をテイスティングレポート! 果たしてその味わいは?(以下、文章はヒマワイン)

 

ほしあつめ2022はどんなワインか

この文章を書いている今日は2024年7月7日、七夕の日。いま私の目の前には「ほしあつめ」と名付けられたワインのボトルが置かれている。ホーライサンワイナリーの自園に当たる、やまふじぶどう園産ソーヴィニヨン・ブランを100%使ったという白ワインだ。

 

ホーライサンワイナリー,ほしあつめ,2022

 

「ほしあつめ」という名称はナイトハーベストを行ったことに由来している。ホーライサンワイナリーは1927年創業、約100年というとんでもなく長い歴史を持つワイナリーなのだが、ソーヴィニヨン・ブランの樹は比較的若木。

 

それだけに木が育ち切る前はなかなか香りが出なかったことからナイトハーベストを実施。やまふじぶどう園の頭上にきらめく星を集めたワインというところから、「ほしあつめ」と名付けられたのだそうだ。

 

ホーライサンワイナリー,ほしあつめ,2022

 

ラベルをよく見てみると、ぶどうの粒が星のように輝いている。夜空に輝く星の光を溜め込んだぶどうから生まれたワイン、それが「ほしあつめ」なのだ。さっそく、グラスに注いで飲んでいこう。

 

ほしあつめ2022の味わい

色はソーヴィニヨン・ブランらしい薄い麦わら帽子色。この品種らしい春先の草原のような香り、ライムのような特徴的な香りが印象的で、香りだけで判断せよと言われたらニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランと回答しそうだがこれは100%富山産のワイン。やるな、富山県。

 

 

飲んでみると、眼が覚めるようなシャープな酸がまず印象的だ。「ほしあつめ」という名前の通り、太陽の温かみではなく、月や星の明るさを伴う冷たさのようなものを感じる。そして、最初の酸の印象が過ぎ去ると、続いて熟したリンゴの芯周辺のような蜜っぽさがやってくる。そして、それら全体をウッディな要素が柔らかくまとめあげている。

 

香りはソーヴィニヨン・ブランらしさ、味わいにおいてはリースリングのようなシャープさと密っぽさを感じるワインという印象。夏の部活の休憩時間に食べた、差し入れのはちみつレモンの遠い味覚を思い出すような味わい。これは夏に飲みたいワインだなあ。

 

真夏にバーベキューと一緒に(正確には肉というよりも、バーベキューで焼かれ粗塩を振られた玉ねきやズッキーニなんかと)飲んだら一瞬で蒸発してしまいそう。やりたい。新鮮な白身のお刺身に和柑橘をキュッと絞って、塩を振ってオリーブオイルをかけた即席カルパッチョとかも合いそうだよなあ。

 

 

2022ヴィンテージのこと

ヴィンテージは2022。この年の「ほしあつめ」は雨の影響で収穫を早くしなければならず、酸が多めとなったことで、オークチップにより酸を和らげているそうだ。ちなみにこの情報は裏ラベルにもしっかり書いてある。オークチップ浸漬といった技術はどことなく“隠されがち”だが、ホーライサンワイナリーは隠さない。

オークチップを使ったワインは、思いっきり「樽!」となる印象があるが、このワインの樽のニュアンスはあくまでお化粧程度。カレーに対する福神漬け的立ち位置の印象を超えない程度の効かせ具合なのが絶妙だ。

 

収穫が早まって酸が多めになっても、だからこそ、よしやったるぞと腕まくりをするのがワインメーカーという人々なのだと最近私は思う。そして、そんな創意はワインに見事に結実している。酸味を活かしつつ、果実感と樽感があることですごく親しみやすいワインになっているのだ。

 

都会では空を見上げても星は見えないが、きっと富山市郊外の山の上のぶどう園なら7月7日の今夜も、晴れていれば星がよく見えるだろう。今度、やまふじぶどう園に遊びに行く際は、わし座のアルタイルとこと座のベガ、天の川を挟んで輝く彦星と織姫を眺めながら、このワインを飲んでみたいものである。

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ヒマワイン(@hima_wine)……ワインブロガー。ブログ「ヒマだしワインのむ。」を2020年より運営。Xのフォロワーは2024年7月7日現在12000超