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ホーライサンワイナリー「ジャン・メルロー 2019」テイスティングレポート

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ワインブロガー・ヒマワインさんがホーライサンワイナリーの「ジャン・メルロー2019」をテイスティングレポート! 果たしてその味わいは?(以下、文章はヒマワインさん)

 

ホーライサンワイナリー「ジャン・メルロー 2019」とは?

ホーライサンワイナリーを初めて訪れた際、特に印象に残った場所がある。それがメルローの畑だ。まだブドウが熟さない7月のことで、その印象は緑の楽園。よく陽の当たる畑で棚栽培されたブドウが揺れる様子は、この先ずっと記憶に残るであろう素敵な風景だった。

さて、ホーライサンワイナリーの自園にあたるやまふじぶどう園に植えられている赤品種は大きくふたつある。ひとつはマスカット・ベーリーAで、もうひとつがメルローだ。

マスカット・ベーリーAはホーライサンワイナリーの取材地である富山県の隣県、新潟県で1927年に生まれたぶどう品種。やまふじぶどう園の開園も奇しくも同じ1927年で、どうやらその当時に分けてもらったものらしく、ワイナリーを代表する品種となっている。

そして、もうひとつのメイン品種がメルロー。ベーリーAとのブレンド「わるだくみ」、メルロー単独で「ときわすれ」、「たけなわ」、「ねこかぶり」、過去には「ゆめうつつ」といったワインが、メルローから造られている。ベーリーAが軽やかでチャーミングなワインになるのに対し、メルローは深い色合い、濃い味わいのワインになり、ホーライサンワイナリーのワインリストを豊かなものしている。

そして、そんなメルローから生まれるワインの中のトップに君臨するのがジャン・メルロー。ヴィンテージは2019。非常に長い熟成期間を樽の中で過ごした良年のみ生産されるメルローのトップキュヴェ。これがすごいワインなのだ。

 

ホーライサンワイナリー「ジャン・メルロー 2019」はどんな味か?

日本ワインのメルローというと、色合いは薄めで、味も軽めというものが多いが、ジャン・メルローの色合いは非常に濃く・深い。味わいも同様で、樽由来のバニラやココナッツのような風味に、メルローの果実味が拮抗している。

長期の熟成を経てもいわゆる“樽負け”せずに、その樽の風味を液体に加え、さらにリッチな味わいを獲得している。熟成を経て角が取れ、液体はまろやかでスムーズ。四季でたとえれば若々しい春でなく、エネルギー満ち溢れる夏でなく、少し涼しくなってきた陽当たりの良い秋のど真ん中といった印象。

じゃあまるで熟成ボルドーのような味わいなのかといえばそんなこともないのが面白い。あくまで日本ワインであり、あくまで富山のワイン。フレンチの肉料理も合うだろうけれど、ノドグロの塩焼きや昆布締めといった富山の郷土料理にもしっかり合いそうな親しみやすさがバリバリにある。

 

ホーライサンワイナリー「ジャン・メルロー 2019」を入手するには…?

生産本数はわずかに572本。オンラインで販売されていないどころか、小売店にも流通しないワイナリーの売店専売の幻のワインは、(売り切れるまでは)ホーライサンワイナリーのショップで購入可能。ホーライサンワイナリーを訪ねる予定のある方は、ぜひ「ジャンはいますか?」と聞いてみてください。

 

写真と文:ヒマワイン(@hima_wine)