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醸造担当者に聞きました。ホーライサンワイナリー「いつもの 白」ってどんなワイン?

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ホーライサンワイナリー「いつもの 白」はどんなワインか?

ホーライサンワイナリーには10数種類ものワインのラインナップがありますが、なかでもっとも生産量が多く、定番と呼べるワインが「いつもの」です。自社ショップだけでなく、富山県内・石川県内のスーパーでも購入可能。“富山のテーブルワイン”として、多くの方に愛されているワインです。

「いつもの」という名前になる前は、「山ワイン」という名前。そのさらに前は「立山ワイン」という名前で販売してきたこのワインは、ホーライサンワイナリーのいわば名刺代わりともいえる1本です。そして「いつもの 白」を「ラインナップののなかで、個人的に一番好きなワイン」だというのが、100年続くホーライサンワイナリーの五代目であり、現在は自社ワインの醸造を担当する山藤亮介。“一番好き”というだけあって、その醸造にはひときわ力を注いでいます。

いつもの,ホーライサンワイナリー

「白ワインは酸味が強くて苦手という方もいらっしゃいますが、『いつもの 白』は酸味がありつつも果実の甘みを液体の奥に感じられるタイプのワイン。スイスイ飲めるのが魅力なんです」(山藤亮介、以下同)

「いつもの 白」は、山梨県を代表する品種“甲州”を使った白ワイン。甲州を使ったワインは、ときに突き刺すような酸味が特徴になります。もちろんそれが魅力なのですが、その酸の強さがとっつきにくさにつながることもあります。甲州を使いながら酸味が強すぎる味わいにせず、親しみやすく、飲みやすく仕上げる。そこが醸造担当の腕の見せどころとなるのです。

 

「山梨っぽくない甲州」を追求する

「甲州の本場は山梨ですから、山梨っぽく甲州を造っても意味がないと思っています。それは山梨で買えばいいわけですから。なので、山梨っぽくしすぎない=辛口にしすぎないことを常に意識しています。従来『いつもの』はもう少し辛口だったのですが、2022年に醸造を担当するようになって以降、飲んだときにほんのりとした甘さを感じられるような造りにしています」

この“ほんのりと甘さを感じられる”というのがカンタンそうで難しい点。ワインのなかに残った糖度のことを「残糖」と言いますが、それはあくまでもゼロ。基本的にはドライな造りです。しかし、実際に飲んでみると、生食でもおいいく食べられる甲州ぶどうの持つ果実味がはっきりと感じられ、それが「甘み」として舌を通じて脳に伝わってくるのです。

甘くないのに甘みを感じる絶妙な果実味。それが甲州ならではの酸味とあいまって、一口飲んで印象深く、それでいて飲み飽きない味わいになっています。

甘くないのに甘みを感じる絶妙なラインを狙うため、醸造期間中は1日に何度も糖度などのデータをチェックし、時間単位で発酵をコントロール。フィルターをかけたあとの残った澱の部分にさらにフィルターをかけることで複雑味を引き出すなど、見えないところで手間をかけてもいます。飲みやすいのに味わいに厚みと奥行きがあるのは、それだけ手間暇をかけている証拠でもあるんです。

「どの世代にも飲んでほしいし、料理にも合わせやすいように造っています」というこだわりが詰まりに詰まった「いつもの 白」は、決して特別なワインではありません。いつもの食卓のいつものおかずに寄り添って、食事がもっと楽しく・おいしくなる。一家団欒の時間がより豊かなものになる。そんなワインです。

富山のテーブルワイン「いつもの 白」。富山県にお越しの際は、ぜひ手に取ってみてください。そして、「いつもの」がみなさんの「いつものワイン」になりますように!

 

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